浜田 優和(はまだ まさかず)


Verb株式会社代表取締役。人事・採用コンサルを経験した後、2019年10月に同社を創業。メンズコスメブランド『narrative』を展開。クラウドファンディング挑戦中!(2020年5月28日まで)


現代の日本人男性に向けたグルーミングコスメがデビュー

現在のお仕事内容について教えてください。


2019年10月にVerb株式会社を創業し、メンズコスメの企画・販売を行っています。2020年4月にメンズコスメブランド『narrative』(ナラティブ)を晴れてリリースしました。


『narrative』ブランドで展開する最初の商品は、身だしなみをアップデートするためのグルーミングコスメTinted Moisturizerです。ニキビ跡や青ひげを隠して顔のトーンアップをすることで、明るい印象を与えることができます。


商品の最大の特長は、ブルーライトによる肌ダメージを防ぐ12種類の成分を配合していること。スマホやPCから発せられるブルーライトは、実は目だけではなく肌にもダメージを与えます。キメが荒くなったり、顔色が悪くなったり、肌のターンオーバー周期がずれたりなど、さまざまな悪影響があることがわかっているんです。弊社のTinted Moisturizerは、そのようなダメージから肌を守り、スマホやPC漬けの「現代人に向けたブランド」をコンセプトにしています。特に今はコロナウイルスの影響でオンライン中心の生活が続き、通常よりもブルーライトを浴びる時間が長くなっている方が多いのではないかと思うので、ぜひお試しいただきたいです。

『narrative』というブランド名にはどんな思いが込められているんでしょうか?


周りの人に合わせるのではなく、ひとりひとりが自分らしい物語(narrative)を紡いでいってほしい。そんな思いを込めて名付けました。


男性がメイクをすることは、価値観としてまだ世に定着しているとは言えません。一方で、YouTuberやプロゲーマーなど、10年前にはなかったけれど、今は当たり前になっているものは少なくない。それは、自分自身の価値観に従い、周りの声に左右されることなく進みたい道を貫いた人たちが10年前にいたからこそ今実現しているんだと思うんです。


メンズメイクも同じで、いきなり世の男性の半分に使っていただくというのは現実的ではなく、気に入っていただける方から少しずつムーブメントを広げていければと思っています。


自分らしい物語を紡いでほしいという価値観は、僕の実体験も影響しています。僕はもともと肌が弱い方で、小学生の頃は落ち葉を触っただけで手がかぶれてしまうほどでした。そのため中高時代からスキンケアは必須でしたが、化粧水を使っていることを学校の友達になかなか言いづらかったんです。


そういう肩身の狭い思いをしたことがある男性は、きっと僕だけじゃない。「ニキビ跡が気になるから、メイクで隠してみたいな」と思ったことがある男性は、実は少なくないはずです。男性もメイクをするという選択肢を提供することで、社会通念に囚われず、自分らしく生きてほしいというメッセージを伝えられればと思っています。

身だしなみと自己肯定感に対する問題意識が芽生えた

メンズコスメブランドを立ち上げようと思ったきっかけを伺えますか?


日本人の身だしなみに対する意識の低さや自己肯定感の低さに問題意識を持ったことがきっかけです。


起業する前、僕は人事や採用コンサルの仕事をしていました。候補者の面接をしたり、採用を判断するマネージャーと話したりする中で、面接においてすごく損をしてしまっている候補者が少なくないことを肌で感じていました。能力は高いにも関わらず、身だしなみがなっておらず第一印象が悪かったり、自信がなさそうに映ってしまったり。


以前、『人は見た目が9割』(竹内一郎/新潮新書)という本が話題になりましたが、賛否は置いておくとして採用現場でもそれは当てはまります。それは逆に、身だしなみを整えるというちょっとした心がけだけで正当に評価されるチャンスが増えるということです。

前職での問題意識が原体験になっているんですね。


はい。調べてみると、世界的に見ても、日本人男性は特に身だしなみに対する意識が低いということがわかりました。欧米では、トップマネジメントになればなるほど身だしなみを気にしています。スーツ選びからメイクに至るまで、かっこよくなることが目的というよりは「この人に仕事を任せたい」と思われる信頼を得るためにやっているんです。


また、お隣韓国では、ドラッグストアに行くと日本とは比較にならないほど男性向け化粧品が揃っています。若い男性だけではなく、びしっとスーツを着こなしたビジネスパーソンが、ファンデーションやリップを使いこなしています。今後、ますますグローバルなビジネス展開が求められる中で、日本人男性の身だしなみ意識をもっと高めなくてはならない。そんな思いが、ブランド立ち上げに至った大きな理由のひとつです。


身だしなみを整えると、周囲から見た目を褒められるようになる。そうすると自ずと自己肯定感も上がります。自己肯定感を上げる方法はたくさんありますが、見た目について褒めることが一番かんたんですし、すぐに自信に現れると思うんです。身だしなみ意識と自己肯定感の向上両方にアプローチするには、メンズコスメがベストだと考えました。そして、身だしなみを整えることで得られる自己肯定感こそが、先に述べた「自分らしい物語を紡ぐ」上で不可欠なことだと思っています。


とは言え、開発は決して楽な道ではありませんでした。コンセプトづくりから商品化まで、1年近いリードタイムがかかってしまうのは、形のあるモノづくりならではです。ユーザーインタビューひとつとっても、オンラインでアンケートを送れば済むWebサービスと違い、実際に対面で会って、サンプル品を使ってもらう必要があります。商品開発を根気よく続けた結果、いよいよブランドをオープンすることができて嬉しく思っています。

今後の展望について教えてください。


まずはD2Cブランドとして、オンラインでしっかりとブランド力を高めていくことが第一です。その後は、自社のリアル店舗をオープンしたいと考えています。現時点では、メンズコスメブランドとして単独で店舗を構えている例は日本ではほとんどありません。大きなチャレンジではありますが、3年後を目標に挑戦していきたいです。