林 良知(はやし よしとも)


日本生命を経て2008年に学校法人立教学院に入職し、立教大学キャリアセンターに所属。社会と大学をつなぐべく、学生のキャリア支援や企業人事向けのセミナー企画などを行っている。キャリアコンサルタント。


リクルーター経験をきっかけにキャリア支援の世界へ

現在のお仕事内容について教えてください。


立教大学のキャリアセンター職員として、大学と社会、学生と社会をつなぐ取り組みを行っています。具体的には、学生に対するキャリア支援や就活イベントの企画、さらに企業人事を対象とする大学・学生の現状を知っていただくためのセミナー開催が主な仕事です。


学生に対するキャリア支援の中心となるのは、1回40分の個別相談です。新たな気付きや考えを促す問いかけにより、学生本人が納得感のある進路を自分で選べるように日々サポートしています。また、キャリア・就職支援のために、キャリアセンター独自のインターンシップ、スタディツアー、面接やグループディスカッション対策、業界研究セミナーなど、学内で開催している年間400ものイベント企画立案にも携わっています。


一方、学生の納得感のある進路選択を実現するには、実は学生だけに働きかけるのでは不十分です。受け入れる立場である企業側にも、今の大学や学生について正しい認識を持ってもらう必要があります。そのために、企業人事向けに大学・学生目線のリアルな就活観を伝えるセミナーも開催しています。

林さんは日本生命を経てキャリアセンターに入職されていますね。珍しいご経歴かと思いますが、キャリア支援に関心を抱いた経緯を伺えますか?


直接のきっかけは、日本生命でのリクルーター経験です。就職活動中のたくさんの学生に会い、進路相談に乗りました。その活動を通じて、未来有望な若者が新たな気付きを得て、自分の意思で一歩踏み出していく瞬間に立ち会えることをやりがいに感じていたんです。


私自身はというと、あまり深く考えずに就活をしてしまったところが実はあって。その反省もあってか、若者の成長に寄り添う仕事がしたいという気持ちが次第に強くなっていきました。キャリアコンサルティングやコーチングの勉強を始めたのはそのためです。


リクルーター経験以外にも、部署内の方々との関わりも、キャリア支援の道に進みたいという思いを確固たるものにしました。私がマネージャーを務めていた部署は、正社員から派遣社員まで、さまざまな雇用形態の社員が共存するダイバーシティあふれる環境でした。どのようにすれば、多様なバックグラウンドを持つ社員それぞれが能力を最大限に発揮できるかと常に考え続ける立場にいたことで、キャリア支援への関心度が高くなっていったんです。

答えを教えるのではなく、考える機会を提供する


学生のキャリア支援に携わる上で大切にされていることは何ですか?


私が答えを教えたり方向性を示したりするのではなく、あくまでも新たな気付きを得る機会を提供し、学生本人が自分の意思で決断するのをサポートすることを大切にしています。「こうしたほうがいいよ」ではなく「君はどう思う?」と。だから私は、ES添削とは言わず、ES確認という言葉を使います。答えを求めて相談に来た学生からは「回りくどいな」と思われてしまうことも時にはありますが、ここだけは譲れません。


安易な答えを教えることは容易いことです。しかし、本人にとって真に納得感のある進路選択を実現するには「自分で考え、自分で決める」ということが不可欠だと思うんです。そのためにとことん学生に向き合うことができるのは、営利目的ではないキャリアセンターの仕事の大きな魅力です。


このポリシーは、業界研究イベントなどにおいても一貫しています。「この会社がいいよ」ではなく「社会や業界はこのようになっている。その上であなたはどうしますか?」と、必ず問いを残すようにしているんです。参加して終わりではなく、学生が自分自身で考えることでイベントの目的が完結する。そんな “余白” のあるイベントもキャリアセンターならではです。


また、学内の各学部と連携することも大切にしています。大学のキャリアセンターで働いていながらも、私自身は決して、大学を単なる職業訓練機関とは見なしていません。学問することこそ大学の本質であり、各学部での学びが結果的に進路選択に活きるというのがあるべき姿だと思っています。それを具現化するために、学部での授業とコラボレーションしたキャリアプログラムを企画したり、各学部に配属されているキャリアサポーターと連携を取ったりして、大学という組織をフル活用したキャリア支援に取り組んでいます。


今後取り組んでいきたいことを教えてください。


社会と大学をつなぐコーディネーターとして、今以上に両者の接続を強化したいと考えています。社会と大学が互いを正しく認識した上でともに若者を育てる枠組みづくりに今後も取り組みたいです。


また、このような取り組みを立教大学内に限定するのではなく、他大学にも広げることにも挑戦したいと考えています。いま私は、全国私立大学就職指導研究会という全国の私立大学のキャリアセンターから成る団体の事務局長を務めています。それぞれの大学の良い取り組みを分かち合い高め合うことで、納得の進路選択をより多くの若者が実現できるようにしていきたいです。