若林 亮(わかばやし りょう)


コンサルティングファームを経て、大手旅行代理店関連会社にて新規事業のプロジェクトマネージャーを務める。1児の父で、男性として社内初の育児休暇を取得。


当事者として携わった事業が形になる喜び

現在のお仕事内容について教えてください。


旅行代理店関連会社にて、プロジェクトマネージャーとして新規事業開発に携わるほか、プロジェクトマネジメントオフィスという、社内で動いている複数のプロジェクトの進行補佐を担務にしています。


プロジェクトマネージャーとしてどのようなことにやりがいを感じますか?


自分が育て上げたプロジェクトや事業が形になって世に出ていくことは大きなやりがいです。前職のコンサルティングファームでも、クライアントのプロジェクトに数多く携わりましたが、当事者として関わるからこそのやりがいは、コンサル時代には味わえなかったものです。


やりがいがある分、大変なことももちろんあります。部署をまたいだメンバーが集うプロジェクトを、スケジュール通りに進行させることは容易ではありません。だからこそ、段取り力と、段取りを推し進めるためのコミュニケーションの質が求められます。プロジェクトマネージャーとして、いかにその2つを底上げできるかが私の腕の見せどころです。

関わる部署が多ければ多いほど入念な社内調整が必要になりますし、経営陣の一言で大前提が崩れてしまう可能性があるなど、外からは見えづらい泥臭い部分もあります。このあたりもコンサル時代には生で味わうことのなかったものですが、そういった泥臭い仕事があるからこそ大きなやりがいにつながっているんだと思います。


また、新規事業をつくる上で、大企業特有の難しさもあります。確固たる収益事業がすでにある大企業では、社内リソースを成功するかもわからない新規事業に割り当てることのハードルが高いんです。結局はやってみないとわからないという状況の中で、そうは言っても「売れるのか売れないのか」を証明しなければならない。そのようなハードルを乗り越えた先に、社会に大きなインパクトを生む事業を作り出せることは大企業ならではの魅力です。

家族と一緒にいる時間を増やすために

前職のコンサルティングファームから転職した背景を伺えますか?


29で結婚したことが私にとって大きな転機になりました。それまでの仕事一筋の生活から一変、「家族との時間」の比重が高くなったんです。


もともと、コンサルティングという仕事には大きなやりがいを感じていました。クライアント企業の事業開発支援や業務改善を通じて、コンサルタントとして価値を発揮できている実感を持てましたし、経験値を積めば積むほどやれることが増えていく喜びもあった。多忙な日々ではありましたが、結婚前は特に苦に思うこともありませんでした。


ですが、結婚を経て家族との時間の比重が上がったことで、もっと家族と一緒にいる時間を増やしたいと強く思うようになったんです。このままマネージャーに昇格すれば、今以上に家族との時間が減ってしまうかもしれない。もちろん上手にやりくりしている先輩もたくさんいましたが、そんなことを考えていくうちに、転職という選択肢が頭をよぎりました。


コンサルティングファームにも、子どもがいる社員はたくさんいます。激務をなんとかやりくりしながら子育てをすることは不可能ではありません。でも、1日のほんの一瞬しか家族と過ごせないことが、私にはどうしても耐えられませんでした。


実は、「コンサルティングファームで磨いた自分のスキルを事業会社という表舞台で生かしてみたい」とはもともと思っていました。転職するにあたり、事業開発に携わることができるポジションを選んだのはそのためです。幸い妻もこの選択を応援してくれ、転職活動自体もトントン拍子に進みました。


コンサルティングファームからの転職先といえば、経営企画や事業開発といった職種が想起されやすいですが、実はそれを実現するにはマネージャークラスのスキルや経験がないと難しいんです。コンサルタントをメンバークラスで辞めた結果、実務経験が少ないとみなされ、営業やシステム担当といった本人の希望と異なる部署に配属されることは珍しいことではありません。私の場合は、転職活動を始めるときから一貫して事業開発に携わることを軸にしていたこと、ちょうど良縁に恵まれたことが功を奏しました。


ご家族との時間を大切にしたいという思いが強くなったんですね。若林さんは現在の会社で男性として初めて育休を取得されたそうですね。


はい。1ヶ月間育休を取得することができました。幸い、会社や上司は協力的でしたし、国からの支援金が入ることもわかっていましたので、収入面での不安もほとんどありませんでした。


ただ、育休復帰後再び仕事中心の生活に戻ると、我が子に会えるのが朝のほんの10分程度と土日だけになってしまったのは、寂しい思いがあります。


今後挑戦していきたいことを教えてください。


前提として、まずは家族が最優先で、その次に自分がやりたいことをやる、という順序に今後ますますなっていくんだろうと思います。自宅で娘や妻と過ごす時間は、私にとってかけがえのないものです。


その上で、私のキャリアとしては、マネジメント経験をきちんと積みたいと思っています。自分のチームを持って目標に向かっていきたいです。また、今携わっている事業開発プロジェクトにおいてもしっかり成果を出し、会社の新たな収益源にすべく育てていきたいと思っています。


また、自分の仕事経験やキャリア観を外部発信することにも取り組んでいきたいです。このインタビューもその一環です。コンサルティング会社から事業会社に移り、育休を取得するというキャリアを積んでいる人はそこまで多くないのではないかと思います。一方で、まだ事例の少ない男性の育休に対する社会的関心度は確実に高まっている。知識や経験値は溜め込むのではなく、共有することで真価が発揮されると考えています。私が知りうることは、積極的に人生の後輩に伝えていきたいですね。