晒名 駿(さらしな しゅん)


明治大学商学部商学科4年。HUNT BANK株式会社 代表取締役社長 CEO。就活/新卒採用における大学生と経営者の完全無料マッチングサービス「ハントバンク」を運営する。


今だからとれるリスクがある

現在のお仕事内容について教えてください。


明治大学商学部4年生として在学するかたわら、2019年4月に設立したHUNT BANK株式会社の代表を務めています。弊社は、就活/新卒採用における大学生と経営者の完全無料マッチングサービス「ハントバンク」を提供しています。

学生でありながら会社を経営されているんですね。起業に至った経緯を伺えますか?


私が代表を務めていた学生団体で、大学生向けイベントを主催した際に協賛していただいた1人の経営者、中村一之さんとの出会いがきっかけです。それまでは、起業なんてまったく考えていませんでした。


それは、学生団体を引退した後、就活相談をしようと中村さんを訪ねたときのこと。彼は2018年の夏に起業したばかりで、ちょうど経営者同士のマッチングサービスであるCXOバンクをリリースした直後でした。次の一手として、大学生と経営者のマッチングサービスを準備していると伺ったので「僕の学生ネットワークでご協力できることがあるかもしれません」と応じたんです。すると「君がやってみないか」と。就活相談をしに行ったのに、起業に誘われてしまった(笑)。さすがに驚いて、「1日だけ悩ませてください」と言ってその場を後にしました。

その晩、落ち着いて考えれば考えるほど、この話は絶対に乗るべきだと思えてなりませんでした。


実は、もともと起業には憧れがありました。高校生のとき、ハンドボール部での活動を通じてチーム作りに興味を持ったことをきっかけにドラッカーの本を読み始め、会社というチームを作っていくことをいつかやってみたいとは思っていたんです。


中村さんの人柄にも魅力を感じていました。ベンチャー企業の役員を歴任されてきた方で、人を自然に引きつける力がありました。僕も中村さんとお話しているときの空気感がとても好きで、この人と一緒に仕事ができると考えると、ワクワクしました。どんな結果になっても絶対に後悔することはない。そう確信しました。


さらにもう1つ、今だからとれるリスクがあるんじゃないかと思ったんです。いつか起業したいと言っていた人でも、一旦就職してしまうと、なかなか起業しづらくなってしまうと聞きます。結婚したり子どもを授かったりすると、さらにハードルが上がってしまうでしょう。僕はまだ22歳。ほとんどノーリスク状態で大きなチャレンジができるまたとない機会を無駄にしたくないと思いました。


翌日、「やります」と返答しました。中村さん自身も、まさか僕が本当に乗ってくるとは思っていなかったようで、逆に驚かれましたけど(笑)。

本当に1日で決断を下されたんですね。起業を決めてからサービスをリリースするまではどのように動かれていたのでしょうか?


2019年1月に創業してまず取り組んだのは資金集めです。弊社は39名の株主の共同出資で設立されています。一般的には創業時の株主数は少ないほうが良いと言われますが、チーム作りの一貫としてあえてそのような資本政策をとりました。その後は学生目線でサービスを黙々と作り込み、今に至ります。自分のサービスがこれから世の中に出るんだと思うと、ワクワクしましたね。


多くの方に応援していただいた一方、批判的なリアクションも中にはありました。「大丈夫なの?」と心配されたり、反対されたり。ショックを受けることもありました。そこでくじけなかったのは、ひとえに意地ですね。


「毎日がすごろく。」逆境の中で最近確立した、僕の人生観です。日々何が起きるかはサイコロで決まるようなもの。だからこそ、間違った選択なんて存在せず、選んだ道をより良い結果につなげていき、最終的にゴールにたどり着けばいい。そんなスタンスで取り組んでいます。


とはいえ、不安がまったくなかったわけではありません。サービスの準備と並行して、実は就活もしました。今思えば就活は、自分と向き合い、起業の腹をくくる良い機会になりました。というのも、どこを受けても自分がその会社で働くイメージがつかなくて、好きになれないんですよね。ときには「君、うちに来る気ないでしょ」とお叱りを受けることもありました。心の中では、起業したいという気持ちがとっくに勝っているんだと気付かされたんです。

大学生の可能性を広げ、新卒採用に新たな風を吹き込みたい

ハントバンクを通じて、どのような価値を提供したいですか?


大学生の可能性をもっと広げたい。これに尽きます。経営者との出会いを通じて、大学生の挑戦を後押しするプラットフォームにしたいと考えています。僕自身も、1人の経営者との出会いで人生が変わった人間です。そんな運命的な出会いを、より多くの大学生に届けていきたいです。


また、新卒採用市場に新たな風を吹き込みたいという思いもあります。ハントバンクは、大学生も経営者も完全無料という日本初のサービスです。企業が買い手、学生が売り手となっている現状の新卒採用市場では、企業の都合で学生の一生が左右されることも珍しくありません。僕も就活をしているときに、面接官からまるで僕という人間を金で買うかのような接し方をされ、不愉快に感じたことがあります。両者とも無料という新しいビジネスモデルを通じて、いまの就活のあり方をアップデートしたいと考えています。


最後に、今後3~5年で挑戦していきたいことについて教えてください。


ハントバンクは、3年以内に売却することを目標にし、始めから公言しています。影響力のある人材系企業に買収してもらって、サービスがもっと広がればそれに勝る嬉しさはありません。決して簡単なことではないことは理解していますが、あえて公言することでコミットしたいと思っています。

売却後は、売却資金を元に新たなチャレンジをしたいです。何をするかは3年後の僕の課題意識次第ですが、事業を作ること以上に高校生のときに憧れたチームのような会社を作りたいという思いが強いです。事業内容は集まったチームみんなで決めるというのも面白いかなと思っています。