三橋 久美子(みつはし くみこ)


4年制大学を卒業後、生命保険事務職、病院での医療事務、専業主婦、都市銀行での顧客窓口を経験。人材派遣会社へ転職し、延べ5500名の派遣スタッフの就業・転職相談業務に従事。その後、厚生労働省の事業で大学生の就活相談を実施。また同時に、企業での従業員定着支援も行う。現在はフリーランスのキャリアコンサルタントとして活動している。


事務職、専業主婦...紆余曲折を経てキャリアコンサルタントに

三橋さんは現在、フリーランスのキャリアコンサルタントとして活動されていますね。


はい。2020年4月にキャリアコンサルタントとして独立しました。ただの「キャリアコンサルタント」ではなく、「熱血キャリアメンター」と名乗っています。転職や働く上でのご相談にのることはもちろん、その先の人生の相談にのれるような、そんな関係性作りをしていきたいという思いからこの名前にしました。


現在は個人の方からキャリア相談の依頼をお受けしたり、企業の外部コンサルタントとして従業員の皆様のキャリア相談をしたりしています。


また、シングルマザーの支援団体でもキャリア相談をしています。過去に派遣会社のスタッフの方々のキャリア支援をしていたんですが、担当させていただいていたスタッフさんにシングルマザーの方が多かったんです。母子家庭に関連する制度などをきちんと理解した上でキャリア支援に臨みたいと思っていた最中、もともと知り合いだった団体の代表から声をかけていただき、ジョインすることになりました。


さらに、『就活bar』というYouTube Liveも始めました。就活に悩んでいる学生向けに、キャリアコンサルタントとして発信できることがないかと、友人とともに立ち上げたイベントです。YouTube Liveは初の試みではありますが、学生の方々に届きやすいかたちを模索しながら取り組んでいます。

キャリア支援を軸に、本当にさまざまなお仕事をされていますね!三橋さんご自身はどんなキャリアを歩んでこられたんでしょうか?


大学卒業時は、キャリア支援に関わることはまったく考えていませんでした。生命保険会社に新卒で入社し、事務職をしていました。本当は、銀行員だった父の影響で銀行に就職したかったんですが、私の就活時代はちょうど就職氷河期が始まった頃で。まったく求人がなく、銀行への就職など夢のまた夢。とにかくなんでも良いから仕事を見つけなければと、募集人数の多そうな保険会社の営業や事務職を受け、最初の勤め先である生命保険会社に内定をいただきました。


その後、結婚を期に3年で退職。生活が落ち着いてきてもう一度働きたいと考えたときに、もともと大学時代にアパレル販売のアルバイトをしていて接客が好きだったことを思い出し、お客様と関わる機会が多い病院の医療事務に再就職しました。

医療事務のお仕事に再就職していかがでしたか?


就職できたのはよかったものの、業務量が尋常ではなく、ものすごく過酷な環境だったんです。次第に体調を崩すようになり、やむなく辞職して専業主婦をすることにしました。


もともと仕事が好きで、結婚後も仕事を続けたかった。それなのに今の自分は、社会と隔絶していて、お小遣いも稼げていない...。そんな理想と現実のギャップに、「このままでいいのかな?」という焦りが積もってきて。30代半ばに差し掛かった頃、ふとこの機会を逃したらもう終わりだと思い、もう一度就職することを決心しました。


さて、どんな仕事につくべきかと考えたときに「原点に戻ろう。どうせならもともと一番やりたかったことをやろう」と思いました。私がやりたかったこと。それは、子どものときから父の背中を見て憧れていた銀行で働くことでした。


未経験の中途採用は公に受け入れていませんでしたが、なんとか面接まで漕ぎ着け、「私にとって、今この機会を逃したら次はないと思っています。なんでも精一杯やらせていただきます」と伝えました。その熱意が受け入れられたのか、異例の内定をいただくことができ、銀行窓口で働くことになりました。

そうして念願の銀行で働くことになったんですね!実際に働いてみてどうでしたか?


実際に働いてみると、やっぱりお客様の大事な資産を扱う仕事なので、絶対にミスの許されない緊張感がありました。覚えることもたくさんあって、最初は「楽しい」よりも「大変」のほうが勝っていましたね(笑)。3年ほどたった頃から少しずつ自分なりのやり方を見出せるようになり、職場の仲間やお客様にも恵まれ、やりがいを感じられるようになっていきました。


ただ、張り合いのある毎日を送っていた一方で、気が抜けない仕事柄、「ずっと続けられるだろうか」という不安もどこかにあったんです。自分の強みを活かせるフィールドがもしかしたら他にあるかもしれない、と。自分の強みを考えたときに、病院や銀行で働いてきていつも苦なくできていたことは「人の話を聞くこと」なんじゃないかと思い至ったんですよね。調べていくうちに、人の話を聞く仕事としてキャリアカウンセラーがあることを知り、次の目標が定まりました。9年半勤めた銀行を退職するのは後ろ髪引かれる思いもありましたが、心を決めて人材派遣会社にキャリアカウンセラーとして転職。派遣スタッフの方々の仕事に対する悩みや今後のキャリアに関する相談を受けることになりました。それが、私がキャリア支援に携わった最初の仕事です。


事務職、専業主婦、銀行窓口と様々な仕事をしては悩んできましたが、キャリア支援に携わるようになって、「私の一生続けたい仕事はこれだったんだ!」と感じました。もっと多くの人の役に立ちたいと、大学生の就活支援や、企業での従業員定着支援にも取り組むようになり、現在に至ります。

一人でも多くの人が納得のキャリアを歩む後押しを

現在はキャリアコンサルタントとして独立して活動されていますね。フリーランスを選んだのはなぜですか?


一番は、もっとキャリア相談に専念したいと思ったからです。組織に所属していると、どうしてもキャリア相談以外の仕事も担当する必要があり、より自由度の高いフリーランスという道を選びました。


キャリアコンサルタントとしてTwitterで発信するようになったり、勉強会に出たりするなかで、いきいきと働くフリーランスの方々に出会えたことも独立のきっかけになりました。


実際にフリーランスになってみて、よりキャリア相談に注力できるようになりましたね。今の働き方のほうが自分に合っているなと感じます。ただ、今までは周りの人に支えられて仕事をしてきたので、少し孤独ではあります。今後は、自分が何か行動を起こしたいと思ったときに、一緒に動ける仲間を増やしていきたいですね。

これから、ご自身の活動を通してどんなことを実現したいですか?


やっていることと反対のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、私はキャリア支援が必要ない社会を実現したいんです。


本来は、キャリアカウンセラーやコンサルタントに相談することなく、自分自身でキャリアを考えられる状態が理想的ですよね。今はまだまだそれが当たり前ではないなと、キャリア支援をしているなかで実感していて。だからこそ、キャリア支援を普及させることで、今後のキャリアや人生設計を考えることが普通の世の中にしていけたら良いなと思っています。


私自身、キャリアに悩んで悩んで、キャリア支援という自分の人生をかけて続けていきたい仕事に行き着くことができました。だからこそ、キャリアに葛藤を抱える方々の一助になれるのではないかと思っています。今後も、熱血キャリアメンターとして一人でも多くの人が納得のキャリアに羽ばたく後押しをしていきたいです!