山口 春菜(やまぐち はるな)


大手人材サービス会社でHR Tech新規事業の立ち上げ、地方創生事業の責任者を経験。現在はパソナJOB HUBにて都市部と地域をワーケーションや複業、サステナブルツーリズムで繋ぐ「旅するようにはたらく部」のマネージャーを務める。現在まで100回以上のワーケーション・サステナブルツーリズム企画・運営実績を保持。また、2014年度から気仙沼大島観光特使、高校・大学での講演活動、法人代表、G20サミット等の国際会議の企画・運営など6社で複業を実践中。国際的な社会起業家コミュニティ「Ashoka Youth Venture」2014年選出。


震災ボランティアをきっかけに人生が変わった

現在の活動内容を教えていただけますか?


「都市部と地方をつなげる」をテーマに、様々な活動をしています。


そのうちの1つは、『JOB HUB LOCAL』というサービスの運営です。「旅するようにはたらく」をコンセプトに、複業したいフリーランスなどの方々と、主に地域課題に取り組んでいる地方企業をマッチングするサービスです。先日は都市部の企業と地域をマッチングする『JOB HUB WORKATION』というサービスを立ち上げました。


また、2014年から宮城県 気仙沼大島の観光特使を務め、その他にも、大学での講師活動やG20・G7等の国際会議の企画・運営に携わるなど、都市部と地方をつなげる様々な複業を行っています。


仕事柄、月の半分は日本全国を行脚するようなライフスタイル。まさに私自身も「旅するようにはたらく」生活を送っています!

山口さんはとてもユニークな働き方をされているなと思います。「旅するようにはたらく」ワークスタイルにたどり着いたきっかけは何ですか?


気仙沼大島で参加した震災ボランティアの活動が、私の人生を180度変えました。


私は名古屋市で生まれ育ち、社会人になって東京に来て、24年間ずっと都市部で生きてきました。ただ、都会での生活は、私にとってはとても生きづらかった。学生時代は学校と家というコミュニティにしか所属せず、常に競争社会の中で人の目を気にしていました。親や周りの期待に応えるために勉強も手を抜かず、生徒会に所属し、部活も複数掛け持って。人と競争し続ける生活に、精神的にも体力的にも限界を迎えていたんですよね。


そんな私に、高校一年生のときに大きな転機が訪れました。東日本大震災です。テレビで震災の光景を見て衝撃を受け、いてもたってもいられず、クラスメイトとともに団体を立ち上げ被災地ボランティアを開始しました。


大学に入学し、私がボランティア先として出会ったのが気仙沼大島です。風評被害によって水産業や農業、観光業が苦戦していたため、漁師さんや農家さん、宿泊事業者の方のお手伝いをすることになりました。


都市部で生まれ育った私は、気仙沼大島の人々と触れ合うことで、今まで感じることのなかった人とつながることの尊さや温かみを体感したんですよね。いつも「おかえりなさい」と笑顔で迎え入れてくれて、勉強やスポーツなど何か秀でたところがなくても、自分という存在を認めてくれる。私がボランティアにいったのに、救われたのはむしろ私の方でした。気仙沼大島は、私にとって遠く離れていても家族のような第二の故郷になりました。


こんな経験から、私のように都会の生活に生きづらさを感じている人に地方の人の温かみを知ってほしいと思うようになり、少しずつ今のワークスタイルを形作っていきました。

そんな経緯で、「都市部と地方をつなげる」が山口さんのテーマになっていったんですね!その後はどんな活動をしていましたか?


大学生になってからは、気仙沼大島の復興支援のために、PR・ブランディング活動を本格的に開始しました。


特に注力していたのが「気仙沼大島ボランティアバスプロジェクト」です。復興ボランティアに関心がある大学生を対象に、島民の方々との交流を通じて震災復興の現状を学ぶツアーを実施しました。また、気仙沼大島の魅力をより多くの人に広めるべく、大学生たちに実際に町を歩いてもらい、良いところや改善できるところを地元の人たちとともに考える取り組みも行いました。4年間で計600人ほどの大学生が参加してくれて、気仙沼大島の魅力発信に取り組んでくれました。


気仙沼大島での活動は楽しい思い出ばかりですが、中でもとても印象に残っている出来事があります。ずっと公務員を目指していた大学生が、ツアーでの体験を通じて気仙沼で働こうと決めたことです。大好きな気仙沼大島に貢献できただけでなく、訪れた大学生の人生を変えるきっかけになれた経験は、責任を感じながらも今でも忘れられません。

大学を卒業してからはどんなお仕事をしていましたか?


新卒で人材系企業に就職し、そこでも地方創生事業に携わっていました。地方の自治体や企業の採用支援をすることで地方創生につなげる仕事です。


その後、縁あって今の会社の新規事業を担当する責任者の方と知り合い、2018年に転職。地方創生の新規事業立ち上げや政策企画、『JOB HUB WORKATION』の事業化に携わりました。

一人一人の心が豊かになる社会を目指して

現在のお仕事にかける想いを教えてください。


地方で働く体験や地域の人との交流を提供することで、観光では分からない地方の魅力に触れてもらい、多くの人の人生を豊かにしたいという想いで事業を立ち上げました。


気仙沼大島でのボランティアで出会った人々が、私の人生を明るく照らしてくれた。私のように生きづらさを感じていたり、次のキャリアを考えている人と地方をつなげることで、人生をいきいきと歩むお手伝いができるのではないかと思っています。


都会で働き始めると、地方と関わる機会はどうしても少なくなりがちです。いきなり地方に移住するという選択は簡単ではありません。だからこそ、今いる場所を大切にしながら複業で地方とつながる体験を提供したいと考えています。


2年の活動を振り返って、多くの人にとって、自分のキャリアを真剣に考えたり、いきいき働くきっかけになっていると実感しています。また、地方で複業をしている人同士のコミュニティができるなど、今まではなかった新しいつながりが生まれていて、「やってよかった!」と思うと同時に、もっと多くの方に体験してもらいたいという気持ちで日々奔走しています。

都市部と地方をつないでいくことで、どんな社会を実現したいですか?


一人ひとりの心が豊かになる社会ですね。


心の豊かさは、自分の安心できる居場所があってこそだと私は思っています。心休まる”第二の故郷”に出会うお手伝いをすることで、人生が豊かになる社会を実現したいと考えています。


自分の心が潤えば、おのずと人に対して手を差し伸べられるようになると思います。心が豊かな人が増えれば、少しずつ世界は平和に向かうんじゃないでしょうか。


日本が大事にしてきたおすそ分けや思いやりの文化は、地方にはたくさん残っています。それを都市部の人にも感じていただいて、悩みや苦しみを抱えている人たちの心を少しでも軽くすることから、私は社会に貢献していきたいと思います。