後藤 早貴子(ごとう さきこ)


茨城大学卒業後、訪問入浴サービスを提供する介護事業会社にて営業・訪問入浴の現場に従事。その後、訪問介護サービス会社に転職し、採用を担当。現在は感動画株式会社にて、医療機関や介護事業所の採用コンサルティング、採用代行を行う。


介護現場で感じた課題から見出した「介護×人事」の道

現在のお仕事内容について教えてください。


感動画株式会社にて、医療機関や介護事業所の採用支援を担当しています。


お手伝いする内容はクライアント様によって様々です。たとえば、「介護職を採用したいけれどなかなか応募がない」、「新卒採用をしたいけれど始め方がわからない」といった課題を持つクライアント様と共に採用戦略を考えるコンサルティングや、人事リソースがないクライアント様の採用代行などを行なっています。人材不足が顕著である医療介護業界において、どうすれば人材確保につながるかを日々模索しながら採用支援をしています。


また、本業のかたわら、訪問介護現場でヘルパーとしても活動しています。具体的には、利用者さんのご自宅に伺い、トイレの介助や着替えのサポートなどを行なっています。

後藤さんは、介護業界一筋でお仕事されてきていますね。今までの経歴を教えてもらえますか?


はい。一貫して介護業界に従事してきました。現在の感動画株式会社は3社目の職場です。


新卒では、訪問入浴サービスを提供する介護事業会社に入社しました。私は訪問入浴サービスの営業をしながら、現場でも働いていました。


現場での仕事は大変でしたが、それに勝るくらいのやりがいがあるものでした。お風呂に入るのが難しい利用者さんの入浴介助をすると、その方の身体がきれいになっていくにつれて、表情も晴れやかになっていくんです。さらに、入浴介助はかなりの重労働。ご家族だけで対応するのは難しいですし、危険が伴う作業です。訪問入浴を行うことで、ご家族が何度も何度も感謝してしてくださって。利用者さんだけでなく、ご家族の生活も豊かにできる仕事なんだと感じました。


介護現場を経験したからこそ訪問入浴サービスの価値を実感でき、営業活動にも力が入りました。しかし、現場は慢性的な人材不足で常にハードワーク。営業担当の私は、訪問入浴サービスを導入してくれる取引先を増やすことがミッションですが、取引先が増えれば増えるほど現場のスタッフたちは忙しくなって疲弊していってしまいました。このすれ違いをどうにか解決できないかと考えたとき、「もっと介護人材の採用に取り組みたい」と思い至りました。


そんなときに出会ったのが、当時の営業先だった2社目の職場です。スタッフと話す機会があり、「今後はどんな仕事がしたいの?」と聞かれて「実は採用に携わりたいんです」という話をしました。すると、「じゃあうちで挑戦してみない?」と言ってもらえて。トントン拍子に話が進み、採用担当として入社することになりました。ちょうど採用の仕事を探していたときに誘っていただいて、本当に幸運でした。

すごいご縁ですね!そこから「介護×人事」の領域に取り組み始めたんですね。


そうです。願ってもないオファーだったものの、私は人事未経験かつ、会社でも採用ノウハウが確立されていないというチャレンジングな状況で。新卒採用プロジェクトの立ち上げと中途採用を任され、手探りでがむしゃらに推進していきました。


新卒採用では、手始めにOB訪問サービスに登録したり合同説明会に参加したりました。馴染みのうすい介護業界に興味を持ってもらうためには、学生さんと直接話す機会に積極的に出向くことが重要だと考えたからです。大人数を採用する方針ではなかったので、少しでも興味を持ってくれた学生さんのフォローに注力し、結果的に初年度で4人の新入社員に入社してもらうことができました。


中途採用では、介護業界で働いている方がよく利用するハローワークに訪問営業し、まずは知ってもらう機会を増やすようにしました。弊社の通勤ルートにあるハローワークにはすべて足を運びましたね。また、介護に特化した求人サイトに登録し、スカウトメールを送るオンライン施策も行いました。地道な取り組みが功を奏し、徐々に採用人数が伸びていきました。


地域密着型の会社だったので、近隣エリアの介護施設にも弊社の採用成果が評判になりました。そこから徐々に、他の医療介護施設からも採用のサポートを頼まれるように。採用のお手伝いをしているうちに、自分の新たなミッションが見えてきました。それは、「採用に苦労している医療介護施設をサポートし、介護業界全体の人材不足を解消したい」ということ。これが、今の職場である感動画株式会社に転職を決めた理由です。


現在は、介護業界の採用に携わっていてすごく意義のある仕事ができていると感じます。採用活動は長期にわたるプロジェクトになるので、すぐには成果が出ません。「この方法で本当に大丈夫だろうか?」と苦悩することも度々ありますが、結果的に企業と求職者の双方が満足できる採用に結びついたときはすごく安心します。特に、クライアント様から「とってもいい人だったのですぐに内定を出しました!」といった報告をいただけたときや、就職した方が会社でいきいきと働いている様子を聞いたときは嬉しいですね。

介護に携わりたい人にきっかけを提供したい

後藤さんが介護の分野に興味を持ったきっかけを教えてください。


介護の分野に興味を持ったのは、妹の存在が大きいです。彼女には先天性の障害があり、私は幼少期から福祉や介護が身近にある環境で育ちました。当時は障害に対して周囲の理解が得られないことが多く、差別的な目で見られたり、学校に入学するのが難しかったり、福祉や介護について困難を感じることが度々ありました。しかし、そのときはまだ介護を将来の仕事にすることは考えていませんでした。


「介護を仕事にしたい」と考え始めたのは、高校三年生の頃の出来事からです。大学受験のため、地元の群馬から一人で東京に向かい、試験を受けるために大学近辺のホテルに前泊する予定でした。試験前日は、3月11日。東日本大震災が起こり、私は宿泊予定のホテルにも、自宅にも行けなくなってしまったんです。未曾有の災害に周囲もパニック状態。そんな中、困り果てている私を自宅に泊めてくださった方がいました。大変な状況でも見ず知らずの私を気づかい、助けてくださったことは今でも温かな記憶として残っています。その方の行動に感銘を受けて、「自分も困難な状況にある人の役に立ちたい」と思うようになりました。


そこから日本の社会問題に関心を持ち、浪人して大学では社会科学を専攻しました。様々な分野を学ぶなかで、強く課題意識を感じたのが日本の高齢化の深刻さです。就活では金融や行政などいろいろな業界を受けてみましたが、超高齢社会に突入している日本において、やっぱり私が取り組みたいのは介護福祉の分野だと思い、介護業界の道に進みました。そして現在まで、介護一筋で働いています。

後藤さんは今も、副業として訪問介護の現場でヘルパーのお仕事をしていますね。現場でのお仕事を続けている理由は何ですか?


現場の仕事を続けている理由は、少しでも介護に携わる人を増やしたいからです。


一口に「介護」といっても関わり方は多種多様です。もちろん、看護師や介護士は専門的な知識や技術が必要ですから、誰でも手軽にできる仕事ではありません。しかし、介護サービスの利用者さんと将棋をして楽しい時間を提供したり、パソコンの使い方を教えたりなど、介護の専門知識を持たない方でもできることはたくさんあるんです。


私自身が本業を持ちながら介護現場での仕事を続けることで、「本業があっても、1〜2時間からでも介護に携わることはできる」ということを体現したいと思っています。いわば、実証実験ですね。私の活動から、少しでも介護に関心を持ってくれる人が増えたら嬉しいです。

介護に携わる人を増やすために、今後どんなことに取り組みたいですか?


まずは自分の活動や介護への関わり方を発信することで、介護に携わるハードルを下げたいです。


採用コンサルタントという仕事柄、様々な業界の人と話す機会があります。自分のスキルを活かして介護福祉分野に関わりたいという人は、意外といるんですよ。介護系の求人媒体を見ていても、他業種で働いていて介護業界に転職したいという人は少なくありません。そんな方々が少しづつでも介護に関わるきっかけを得られるよう、サポートすることも取り組みたいことの一つです。介護に関心があるけれど誰に聞いたらわからないという方は、ぜひ私に連絡してほしいです!