小南 優作(こみなみ ゆうさく)


株式会社ヒトコト代表取締役。みんなのちょっとしたできるコトを交換しあえる『cocan』や取材マッチングサービス『LOOKME』を主宰。新卒でリクルートに入社し、HR領域の営業職を経て、福岡の広告代理店へ転職。営業マネージャー・新規事業立上げ等を経て、現在に至る。「ヒトとコトのはしわたし」をコンセプトに主にCtoCプラットフォームの開発を手掛ける。


コンプレックスから生まれたプラットフォームづくりへのこだわり

現在のご活動内容について教えてください。


代表を務める株式会社ヒトコトにて、みんなのちょっとしたできるコトを交換しあえるプロジェクト『cocan(コーカン)』を主宰しています。「イラストを描きます」「コーチングします」など、してもらえたらちょっぴり嬉しいコト同士をお金を介さずに交換できる場所です。2020年4月にプロジェクトを開始して2ヶ月経ちましたが、確認できているだけでも120以上の交換が行われています。


また、cocan以外にも、「取材してほしい人」と「取材したいヒト」をつなぐ取材マッチングサービス『LOOKME(ルックミー)』も運営しています。他にも、これまで複数のマッチングサービスを公開してきましたが、実はこれらは弊社のメインの事業ではありません。


弊社は福岡を基盤に集客コンサルティングを手掛けており、それが会社の本業です。僕は地元福岡で大学を卒業後、リクルートや広告代理店で8年間働いてきました。「いずれは起業したい」という思いはもともとあって、会社員時代に培った知見を活かす形で集客コンサルティング事業で独立。cocanやLOOKMEはそこで得た収益を投じて進めているプロジェクトです。

本業と並行してマッチングサービスを運営されているのはなぜですか?


プラットフォームづくりが僕の持ち味だと思っているからです。弊社名「株式会社ヒトコト」も「ヒトとコトのはしわたし」というプラットフォーム的な意味合いが込められています。


プラットフォームをつくりたいと思うようになったのには、大学時代のコンプレックスが影響しています。実は僕、大学時代はDJになりたかったんです。でも、同じ夢を持つ他の人たちに目をやると、彼らのほうが明らかにイケていて、ステージ映えするように思えました。「あ、僕は表舞台で目立つ側の人間じゃないんだな」と。


では、僕が発揮できる価値は何だろうと改めて考えたときに、表舞台に立つプレイヤーは難しいかもしれないけれど、みんなが盛り上がれる場や仕組みをつくることはできるんじゃないかと思い至りました。もちろん今でも表舞台のアーティストには憧れますが、僕の生きる道はそっちじゃない。それをビジネスライクに表現すると「プラットフォームづくり」だなと考えたんです。


そんな理由から、これまでマッチングサービスにこだわって運営してきましたが、逆にそれ以外のこだわりはなくて。僕が用意した場で、多くのヒトやコトがつながってくれればそれでいい。DJにはなれなかったけれど「このフロアを仕切っているのは実は俺だぞ」と浸りながら、2階席でお酒を飲むのが幸せなんです(笑)。


ユーザーと一緒にcocanを育てたい


cocanについてさらに伺います。このプロジェクトを始めた理由を伺えますか?


cocanは、LOOKMEで抱えていた課題から着想しました。LOOKMEでは、取材されたい人には多く登録いただけたものの、取材したい人は不足していて、マッチングサービスとして不均衡な状態が続いてしまっていたんです。「取材したい人に対して、お金以外のインセンティブを何か提供できないだろうか」と常に考えを巡らせていました。


温めたアイデアや、ふとした雑談の中から「お金を介さずに、お互いのできるコト同士を交換する」というコンセプトが次第に形成されていきました。何でも金銭換算されてしまう現代において、貨幣制度以前から行われていた物々交換のような、お金を介さない取り引きは斬新なんじゃないかと思ったんです。


考えてみると、値付けが難しいけれども確かに価値があることはたくさんあります。お金自体を否定するつもりは毛頭ありませんが、お金も決して万能ではないと思っていて。お金が介在するが故に、値付けしづらいものは流通しなくなっていく。「冷蔵庫の中身を教えてくれたら、それで作れるメニューを考えますよ」とか、値付けはされないけれど、してもらえるとちょっぴり嬉しいコトを流通させる場をつくろうと考えました。

プロジェクトを進める上でどんなことを意識しましたか?


スピード感にはこだわりました。これは過去の反省から学んだことですが、大掛かりなシステムなどの「箱」から作りたくなってしまうのは、僕の悪い癖だったなと。僕自身がエンジニアではないからこそ、きれいなウェブサイトや動作するシステムができるとめちゃくちゃ嬉しいんですよね。その気持ちをぐっとこらえて、本質的な価値の検証を素早く行うことにまずは注力し、他社サービスを活用して手間を掛けずにプロジェクトを公開しました。


また、丁寧なコミュニティづくりも心がけています。一般的なサービスのように、cocanが何らかの価値を受益者に提供するという1対Nの構図ではなく、ユーザー同士が自発的につながり、価値を生んでいくN対Nのコミュニティとしてcocanを育てようとしています。


そんな考えから、僕はcocanのことをサービスではなくプロジェクトや場所と呼ぶようにしていますし、カテゴリー分けや価格順表示といった機能をあえて設けていません。「安くて便利」を目指すのではなく、cocanで重視したいのは「あ、これいいかも」といった偶然の楽しさであったり、ユーザー同士の自発的なつながりなんです。何かを「してもらいたい」ではなく「してあげたい」という人が集まる場所になれば最高だなと思っています。


最後に、cocanの今後の展望について教えてください。


まずは、cocanの提供価値を僕自身が見定めたいと思っています。現時点での僕の認識は、cocanは「楽しく人の役に立てる場所。」自分のちょっとしたできることで人の役に立てて、ちょっぴり嬉しいお返しもついてくる。ただ、それは僕自身の解釈であって、いろんな解釈があり得るはず。cocanが今後ユーザーにどう受け入れられていくのか、cocanとは何かをもっと明確に答えられるようにしたいです。


その上で、もう少し長い目線では、ユーザーと一緒にcocanをつくっていきたいですね。僕は、自分がスタートアップをやっているという認識はしていなくて、cocanでこの市場を独占したいとも、何か壮大なビジョンを掲げているわけでもありません。プロジェクトを進める上ではスタートアップ的な動き方はもちろん大切ですが、機能拡充やユーザー拡大をいたずらに追うのではなく、「一緒にやらない?」というようなノリで集まってくれるユーザーと一緒に、cocanというプロジェクトを育てていければと思っています。


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