中西 寿道(なかにし ひさみち)


設備製造会社に勤務するかたわら、社会人の新しい生き方や働き方発明する一般社団法人『一休みの学校』を設立し、代表理事を務める。


病に伏せて気づいた「一休み」の大切さ

現在のお仕事内容について教えてください。


京都の製造設備会社にて企画・営業として勤務しながら、一般社団法人『一休みの学校』を運営しています。「社会人が充実感を持ちながら働き、学び、多様な生き方を選択できる社会の実現」をビジョンに掲げ、設立しました。具体的な活動内容としては、「庭と冒険」と名付けたオルタナティブスペース(多目的スペース)で、人生を豊かにする生き方・働き方をディスカッションするワークショップ等を行なっています。


また、活動の一環として「自転車屋台」を使った複業・起業のサポートにも力を入れています。「子供の頃からの憧れだった花屋さんをやりたい」「お菓子のオリジナルブランドをつくりたい」そんな想いはあるけれど一歩踏み出せない人の夢を実現する方法として、店舗を持たずに始められる自転車屋台を貸し出し、夢の実現方法を定めるコンサルティングや販売戦略のアドバイスをしています。




一休みの学校を設立したきっかけは何だったのでしょうか?


一休みの学校を設立したのは2012年のこと。自分の事業が立ち行かなくなり、2009年に適応障害を発症したことがきっかけです。


それまでは、ハードウェア業界でものづくりの仕事一筋。立ち止まって自分のこれからを考える時間はありませんでした。心身のバランスを崩したことを契機に、今まで囚われていた考え方や周りの人との関係を「一休み」して、生き方と働き方を再考しよう、と思ったんです。それが、一休みの学校のコンセプトが生まれた瞬間です。


しかし、すぐに法人を立ち上げた訳ではありません。私は人づてに講師の仕事を紹介していただき、これまでの仕事で培ってきたITやマーケティング、コーチングの知識を活かして講座を始めてみることにしました。そこで、今は一休みの学校の理事を務める行政書士の加藤と出会います。彼と話しているうちに「多様な生き方を選択できる社会を実現したい」という共通したビジョンがあることに気がつき、一緒に講座を作っていくようになりました。


そして、この活動を続けていきたいという思いから、加藤と共に一般社団法人『一休みの学校』を設立しました。

現在の活動の1つとして自転車屋台を提供されていますね。「自転車屋台」と聞くと、お豆腐屋さんなど昔ながらの移動販売方法というイメージが浮かびます。中西さんが今の時代に自転車屋台を始めようと思った理由は何ですか?


自転車屋台という着想を得たのは、ソーシャルデザイン系オンラインサロンで参画していた移動式カフェのプロジェクトです。


自転車屋台という手軽な手段を通じて、諦めかけていた夢を再発見し、実現できる。そして、移動しながら様々な人と出会い、ご縁が繋がっていく。それがすごく希望あふれることだ思ったんですよね。


自転車屋台の「対面販売」という点は、今の時代だからこそ価値があると思います。モノが生まれた背景や作り手の思いを知っていると、モノに対する思い入れは一層深まりますよね。しかし現在は、様々な販売チャネルが無人化し、人工知能がその人に合った商品やサービスをオススメするようになってきている。「この人が作っているものだから買いたい」という気持ちが生まれる瞬間が少なくなってきているなと感じます。


単に「そのモノが欲しいから買う」だけではなく、「作っている人が素敵だから、作られた背景にあるストーリーが好きだから買う」という体験を大切にしていきたい。私にとって、そんなふうにモノを介して人と人とが繋がる瞬間がすごく輝いてみえるんです。花粉を運ぶミツバチのように、自転車屋台が人と人とを繋ぐ媒介になれば良いなと思います。

夢を諦めずに挑戦できるプラットフォームを広げたい

自転車屋台の提供を始めてみて、どんなところにやりがいを感じますか?


やっぱり、自転車屋台を通じて利用者の方が夢を叶えたときの感動は筆舌に尽くしがたいです。


各地を移動しながら雑貨を販売する「旅する雑貨店」をやろうとしていた方がいたんですが、その人が思い通りのディスプレイを作り上げた瞬間に立ち会えたときは我が事のように嬉しくなりました。


「震えるような感動」。それが毎日どこかで起こるような世界にしていくことが私のゴールです。そして、夢を瞬間的に叶えるだけではなく、持続可能にしていきたいですね。

「震えるような感動」!聞くだけでワクワクします。今後の目標を教えてください。


一休みの学校は現在は京都中心の活動ですが、これからの生き方と働き方を発明し、夢を諦めずに挑戦できるプラットフォームを世界中に広めていきたいです。


ある組織ではダメだと評価されていた人が、他の組織では能力を発揮できることは往々にしてあります。私自身、仕事が辛くて仕方がない時期がありましたが、一休みの学校を立ち上げて様々な活動をすることで自分の居場所と思える場所が見つかって、なんとか乗り越えられたことが幾多もありました。


たまたま置かれた場所の尺度で見たときにダメな人と評価されるだけであって、その人にあった場所や方法はあるはずです。だから私は、力を発揮できる場所や方法を見つけられる仕組みを作っていきたい。自分らしい生き方や働き方を見つけ、実現するための装置として、自転車屋台は役に立つのではないかと思います。


現在、自転車屋台はプロトタイプの段階で利用台数も多くありません。今後の目標は1000台です!屋台の形も紋切り型ではなく、使う方一人ひとりの個性を反映して作り上げる体験を提供したいですね。