潮崎 真惟子(しおざき まいこ)


1992年生まれ。経営コンサルティングファームにて、プロボノとして社会課題に取り組む非営利団体のコンサルティングプロジェクトに従事。


小学校時代から貫く「貧困問題を解決したい」という想い

NGOやNPOのコンサルティングをされていると伺いました。


はい。一般企業のクライアントに加え、社会課題に関連するNGOやNPOのコンサルティングも担当しています。弊社はCSR活動の一環として、社会的意義の高い事業を行う非営利団体に無報酬で経営コンサルティングサービスを提供しています。私がアサインされているプロジェクトもその中の1つです。もちろん一般のプロジェクトも担当していますが、最近は非営利団体に対するコンサルティングに主に携わっています。


事業収益をいかに拡大できるかが非営利団体の大きな課題です。人もお金も足りない中で運営していることがほとんどなので、私たちがプロジェクトに加わって、リサーチや分析、職員・経営層とのディスカッションを行い、経営改善策の検討および実行をサポートします。


もともと私は、貧困問題を解決したくて経営コンサルタントという職種を選びました。こうして実際に社会課題に取り組む団体をサポートすることができていて、非常にやりがいを感じています。

貧困問題の解決のためにコンサルタントに!?


そうなんです。もはやなぜそう思ったのかを覚えていないんですが、物心ついたときから「途上国の貧困問題をなんとかしたい」という気持ちを持ち続けてきました。たまたま生まれた場所で、将来の選択肢が限られてしまうなんてあってはならないことです。小学校中学年の頃、「将来はおもちゃ屋さんになって、もうけたお金を全部寄付します!」と英会話スクールで発表した記憶があります(笑)


中学、高校と進学するにつれて「貧困は一体どうして起きるんだろう。なぜなくならないんだろう」と考えるようになりました。そして、それを深く研究する開発経済学という学問があり、その権威とされる黒崎教授が一橋大学にいることを知ります。その日から私の志望校は一橋大学に決まりました。「私は貧困問題を解決するために生まれてきたんだ」と。一浪の末、努力が実って一橋に合格。インドの貧困地域でのインターンシップに参加し、大学院では念願の黒崎研究室で学びました。


インドでのインターン先は、農村への技術指導や物資・医療支援を総合的に行うNGOです。ここで感じたことが、私の将来の選択を決定づけました。それは「影響範囲が狭いな」ということ。


現場での取り組みは、本当に素敵なものでした。農村の人たちは、間違いなく救われています。でも、一生懸命がんばっても影響を与えられるのはせいぜい数百人。活動自体を否定するつもりは毛頭ありませんが、活動の先にあるはずの「貧困問題解決」というゴールが私には途方もなく遠くに感じられたんです。


また、インターンしたNGOの職員は、強い使命感を持ちさぞ意欲的に働いているかと思ったら、必ずしもそういうわけではありませんでした。働き方についても、学生の私から見ても非効率な面がちらほら。もし彼らがより効率的に活動することができたら、今よりも大きなインパクトを与えられるはずです。


だから私は、社会的意義のある活動に現場で取り組む非営利団体を支援することで、間接的ではあるけれど広い範囲に影響を与え、貧困解決に貢献しようと決めました。その具体的な手段として、経営コンサルタントという職種を選んだんです。

「狭く深く」か「広く浅く」か。トレードオフに葛藤した

まっすぐな想いに聞き入ってしまいました。実際にコンサルタントになってみて、学生時代の想定とのギャップはありましたか?


3ヶ月という限られたプロジェクト期間で、外部のコンサルタントにできることには限界があるなと、どうしても感じています。確かに広い範囲に影響を与えることはできますが、その代償として影響度が浅くなってしまう。正直なところ、私がプロジェクトに関わったことで、途上国の現場に変化を及ぼせたとは思えませんでした。このような葛藤は、私だけではなく、同じ志を持つ弊社のチーム全体が共有するものです。


でも、葛藤を抱えたまま立ち尽くしているわけではありません。私たちは今、コンサルティングファームとしての非営利団体への関わり方を大きく変えようと試みています。単なるアドバイザーではなく、非営利団体と一緒になって途上国の課題解決に取り組む「主体」へ。実際にいま、途上国の政府と協働して児童労働撤廃のための政策づくりを行っています。現場を知る非営利団体と一緒に社会を変えていく。そのほうが、はるかに大きな影響を及ぼせる。そんな実感を得つつあります。


お話しいただいたことの他に、貧困問題に対して中長期的にどのように関わっていきたいですか?


より広く深い影響を与えるための手段として、非営利団体の渡り鳥になることは選択肢の1つです。特定の団体に一定期間フルコミットして運営上の課題を解決し、次の団体へ移るというような関わり方。団体職員は、必ずしも経営やビジネスに明るいとは限らないので、コンサルタントとして培った専門スキルを中に入って活かすことで貢献できればと考えています。